休暇の満足度を高めるコツとは?

 
この夏に休暇を予定されている方も多いのではないでしょうか。ところが、せっかくのバケーションを楽しめない人がいます。それはなぜでしょうか? そしてどうすれば満ち足りた休暇を楽しめるのでしょうか?
 
セイバリング(Savoring)の研究で有名なフレッド・ブライアント博士は、休暇を楽しめるタイプとそうでないタイプについての調査をしました。セイバリングとは、心地良い体験やポジティブな感情をより長く深く味わう心理的な行為を意味します。ブライアント博士は、休暇で旅先のリゾートに滞在したときなどに、満喫できる人とストレスが溜まってしまう人がいることに着目しました。
 
休暇を楽しめない人には「タイプA」が多いことがわかりました。
「タイプA」とは、競争心が強く攻撃的で、効率にこだわり、無駄に時間を過ごすことを何よりも嫌う傾向の人の分類です。俗にいう「せっかちな人」(関西では「いらちな人」)です。
 
「タイプA」は仕事で成功する人が多い反面、心臓病や突然死のリスクがあることがわかっています。ゆったりとした「タイプB」と比べると、心疾患発症頻度が2.3倍あることが長期研究の結果判明しているのです。
 
この「タイプA」は、「今ここ」にある体験をマインドフルに味わうことが苦手です。休暇中も次のアクティビティや休暇明けの仕事のことで頭がいっぱいで、目の前にある美味しい食事や風光明媚な風景、快適な体験を楽しむことができません。リラックスしようとすればするほど、逆にストレスを感じてしまいます。
 
そこで、ブライアント博士は休暇を満喫するために、いくつかのポジティブ心理学の手法を試し、効果を確認しました。
 
まず始めが「Counting Blessing」、恵みを数えることです。これはポジティブ心理学手法で有名な「3つのよいこと」の原型で、身の回りに起きたよいことや恵まれたことを回想し喜び感謝することが目的です。
 
この手法は休暇前に活用できます。「有給休暇をとる余裕があって恵まれている」「一緒に旅を楽しめる家族(友人)がいてありがたい」と自分にもたらされたことをあらためて実感する。その結果、休暇前にポジティブ感情が高まります。
 
休暇中も活用できます。とくに海外旅行は疲れが溜まりやすいもの。ストレスや疲労にどう対処するかが休暇の満足度を左右します。無理はせずに楽しんで、一日の終わりには「よかったこと」を数える習慣をもつ。それが幸せな気持ちで休暇を楽しむ秘訣です。
 
そして休暇後には「Memory Building」をする。旅先での思い出をリフレクションすることです。たとえば楽しい思い出を味わう「ポジティブ・アルバム」、旅先のお土産を飾る「ポジティブ・ポートフォリオ」の手法が使えます。
 
まとめると「いい休暇」を送るコツは
・休暇前や休暇中に「よかったこと」「恵み」を数える
・休暇中は急がずに「今ここ」にあるポジティブ体験を味わう余裕をもつ
・休暇後はポジティブな思い出を振り返る工夫をする
です。当たり前のことですが、意外とできていないものです。タイプAの人はとくに...。
 
皆さんも、いい休暇を楽しんで下さい。
 

2013年7月27日

 
引用:Smith, J. L. & Bryant, F. B. (2012). Are we having fun yet?: Savoring, Type A behavior, and vacation enjoyment. International Journal of Wellbeing, 3(1), 1-­‐‑19. doi:10.5502/ijw.v3i1.1