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OECD幸福度調査第1位 オーストラリアの3つの秘訣

2年連続第1位のウェルビーイング先進国

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オーストラリアといえば何が思い浮かぶだろうか。

観光名所であるシドニーのオペラハウス、東海岸のゴールドコースト、カンガルーやコアラなどが目に浮かぶかもしれない。観光大国として有名なオーストラリアだが、ウェルビーイングに力を入れた「幸福度大国」であることはあまり知られていない。

先進国を中心とした国際機関であるOECD(経済協力開発機構)が調査した「より良い暮らし指標(BLI)」の2012年度版が、先日22日に発表された。オーストラリアは2年連続第1位となっている。これは住宅環境や安全、雇用や収入、健康や環境など11分野の指標による総合的な統計だ。オーストラリアについで2位がノルウェー、その後に4位のスウェーデンや5位のデンマークなど、国別幸福度指標の常連である北欧諸国が並ぶ。ちなみに日本は全36カ国中21位で、昨年の19位から後退した。とくにワーク・ライフ・バランスと生活満足度が低かったようだ。


陽気で豊かなオーストラリア

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では、なぜオーストラリアはウェルビーイングの先進国になりえたのだろうか。

まず第一に、経済的な側面が考えられる。OECDの調査でも、住居の広さ、雇用率が高さ、安全と環境がOECD諸国の平均を上回っており、生活満足度も高いことがわかっている。さらにオーストラリアは、2009年のリーマンショックを免れた唯一の先進国であり、現在は中国など新興国からの資源需要を背景とした鉱山ブームのおかげで、失業率もかなり低い。

また、オーストラリアの国民は高金利のメリットを享受している。銀行にお金を預けたときの金利は今でこそ4〜5%だが(それでも日本の0.1%と比べると非常に高い)、数年前は8%近くあった。預金をするだけで資産が殖え、10年も寝かしておけば資産が倍増したのだ。私の友人も、シンガポールで稼いだ収入をオーストラリアドルで貯蓄し、安全に資産を形成していた。いずれオーストラリアに帰国し消費することを考えると、為替リスクはない。しかも現在は通貨が強くなっているので、海外で消費や投資をすることも可能だ。

二つ目に、オーストラリア人独特の国民気質が考えられる。私にもオーストラリア出身の友人・知人が何人かいるが、皆に共通しているのが、人懐っこく、家族や友人との関係性を大切にし、スポーツが好きで、よく食べよく遊び、些細なことにこだわらず大らかなことだ。「Aussie」(オージー、オーストラリア人の愛称)はポジティブなのだ。

私が以前勤めていた会社では、私の職場の事業本部長と財務部長、そして人事課長の「三役」が皆オーストラリア人だった。その国民性が発揮されたのか、ことのほか明るい職場だった。業績は絶好調で、従業員満足度も非常に高く、その体験が私に「幸福優位な組織は、卓越した成果を出す」という確信を与えてくれた。


ポジティブ心理学の応用が進む国

Auz2012.pngさらに、オーストラリアではウェルビーイング研究と応用が盛んだ。ポジティブ心理学の世界でも、オーストラリアは米国と英国についで活発で、国際会議も毎年のように開かれている。数ヶ月前にはシドニーでポジティブ心理学・ウェルビーイング会議が開催され、世界各地から多くの参加者を集めた。

ビジネススクールの校舎を借りて5日間に渡り行われたその会議では、「ポジティブ組織」「ポジティブ・ヘルス」「ポジティブ教育」「ポジティブ政策」の4大テーマに沿って基調講演とワークショップが行われ、志を共有する人たちとのネットワークを形成する場が豊富に用意されていた。「知識吸収でも人脈形成でも実りの多い充実した会議だった」と当校を代表して参加した講師は話していた。

幸福度と公共政策との関連性の高さは、ウェルビーイング研究の第一人者であるエド・ディーナー博士も伝えている(Diener, 2009)。経済的な豊かさや陽気な国民性だけでなく、ウェルビーイングに関しての政府や公共機関の積極的な活動が、オーストラリアを世界における幸福度の先進国に押し上げたのだろう。


富裕層を惹き付ける要因

オーストラリアは富裕層の誘致にも積極的だ。日本や他のアジア諸国からも、東海岸のシドニーやメルボルン、ゴールドコースト沿いや、西海岸のパースに経済的に豊かな人々が移り住んでいる。まずはコンドミニアムや別荘を購入し、引退後に移住するのが一般的だ。国家の幸福度の高さが、「居住地を選択する自由のある」お金に余裕のある人々を惹き付ける魅力の一つとなっていると考えられる。幸福優位性を競争力として、経済発展に結びつけるしたたかな政策だ。

ウェルビーイングに関しては「発展途上国」である日本はどうすべきだろうか? 他のOECD諸国であるイギリスやフランスが懸命にウェルビーイング向上のための政策を進める中、このままでは日本は「幸福度後進国」になってしまうのかもしれない。そして、それは税金の高さや災害リスク、閉鎖的な移民制作などと相まって、海外の富裕層を遠ざけ、国内の富裕層を逃避させる一つの原因となってしまうかもしれない。


2012年5月24日
ポジティブサイコロジースクール代表 久世 浩司